初めての言葉

 1 日本語を話す・聞く

日本語が先か、英語が先か、論争

「いつから、英語を習わせたら良いですか」

小さき子を持つ親が、一度は悩む論争である。

こんな例がある。

私は、外国籍の働き手が多くなるに連れて、一緒に日本にやってくる子供たちを対象にした「日本語初期指導教室」を担当してきた。 

中には、生まれた時から日本で生活していても、話せるが、文章が書けない子もいる。また、就学前に日本に来ているが、母国語も満足に分からない子もいる。もちろん、どの子も、日本語は多少できる。しかし、学年相応になるには、相当な努力が要る。残念ながら、日本語が分からないまま、学年は上がっていく子が多い。

教室では、一つ一つ丁寧に指導する。子供たちも一生懸命習得しようと勉強する。でも、なかなか学年相当に習得できないのは、なぜか。その原因は、家では、母国語中心であるから。分からなくても家族で通じる言葉を使えばいいから。

言葉を習得するのに大事な環境は、「家庭」なのだ。

しかも、文法的に正しく習得しなければ、将来、役に立たないのである。

日本人だったら、日常的に日本語を使っている。だから、いつも耳に馴染んでいる「日本語」を難なく習得できる。その上で、文法を学習すれば、良いのだ。

どのように小さき子に伝えたら良いか。

全て「リズム」。日本語のリズムを何回も小さき子に伝える。日本語のリズムと言えば、「童謡」歌って聴かせれば、リズムでなんの苦もなく覚えていく。

私は、言語の習得として、「読み聞かせ」を勧める。何故か。それは、「読み聞かせ」による効果がとても大きいと考えたからである。

2 読み聞かせから、小さき子の環境を整える

子供へ与える効果

次の四つが考えられる。

  • 読み聞かせの時間は、その子のための時間。愛情に包まれる時間になる。
  • 言葉が広がる。さまざまな言葉を、シャワーのように浴びせる。正しい表現が自然と身につく。
  • 同じ時間の共有。物語を楽しむ時間。自分の心を解放させる時間。
  • 活字に対する興味が出てくる。本に対してのハードルが低くなり、自分の周りに本がある事が普通になる。

 どの習得の時間も、「心」が必要。「心」無くして教え込むことには、意味はない。

 保護者に与える効果

  • 一つのことを続けることにより、「親」としての自覚・自信となり得る。
  • 子どもが何に関心を持つのか、何を面白がるのかが感覚で分かる。
  • 保護者自身の「国語」の勉強になる。

「読書百遍、自ずと分かる」と言われるように、親子で国語のリズムが学習でき、何回も読み込むことで、正しい国語がわかってくる。 

 自分の思っていることを言葉にすることは、日常的に活字に触れていないと、とても難しくなる。また、的確に表現する言葉が寸時に出てこない。それを繰り返すとどうなるか。とても貧弱な国語の中で、生活を営なむことになる。他人と接するときも、どのような人と関わる事ができるかにも、影響が出てくる。

 

 結局、「0歳児だから、何もわからない。だから、どんな言葉でも良い」「周りの言語環境は、考えなくても良い」、ではないのだ。

3 平仮名を見せて読む

五十音の積み木を使い、フラッシュカードのように使う。小さき子の目が、集中して積み木を見るような高さで、一秒も掛からずに見せる。大事なことは、強要しないこと。他に興味が行ったら、止めること。

小さき子の集中力は、とても短い。次から次へと興味は変わっていく。なぜなら、見るものは、

「全て、初めて」

「全て、新鮮」

「全て、興味津々」

その気持ちを大事にする事が、小さき子にとって一番大事な事なのである。